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知的障害者の場合、通常は初診日が出生日(誕生日)とされ、障害基礎年金を請求することになりますが、特に軽度知的障害者の場合は学校を卒業するまで精神科医に受診せず、会社に就職しその後うつ病の併発や、発達障害等の症状が顕著になって、厚生年金加入期間中に初診があるようなケースがあります。
最近の事例では以下のようなケースがありました。
ケース1 40代 男性 狭山市
中学校の時特殊学級、二十歳の頃療育手帳を取得(軽度知的障害)し、その後障害者雇用で20年近く働き、40歳代になってはじめて適応障害で精神科初診、その後退職した。
適応障害により障害状態が顕著になったとして障害厚生年金で請求した。
ケース2 30代 男性 所沢市
小、中学校では特殊学級の経験もなく、不登校もなかった。高校卒業後就職したがどこも長続きせず、二十歳過ぎに療育手帳(軽度知的障害)を取得。その後障害者雇用で10年以上継続して働いている。30歳代初めに落ち込んだ時があって精神科を1回だけ受診した。
ケース3 20代 男性
高校卒業まで普通の学校に通い、高校卒業後は国家公務員に正式採用された。しかし配属先が遠隔地だったことなどもあって約半年で退職、その後民間会社に就職したが、物覚えが悪くミスも多いので、発達障害を疑い精神科を受診したが、この時検査で軽度知的障害を指摘された。高卒後国家公務員として正式採用されたことがあり、少なくとも当時は知的障害の症状は非常に軽度で、発達障害の症状が顕著になったとして障害厚生年金で請求した。
その結果は以下の通りです。
ケース1の場合
請求後1ヶ月くらいしたら請求書が戻されて、障害厚生年金には該当しない。障害基礎年金で請求するよう指示されました。知的障害と適応障害は別傷病として扱うような考え方もありますが、認められないことも考えて障害基礎年金で再提出しました。ここで注意すべきことは、同じ傷病で障害基礎年金と障害厚生年金は同時に請求できない。ということです。今回あくまでも障害厚生年金を主張した場合、それが不支給決定(却下ではない)されるまで、障害基礎年金は請求できないことになります。よってそれまで(最初の請求から4~5ケ月後)障害基礎年金が請求できず、障害厚生年金が最終的に認められなかった場合、請求人は4~5ケ月分損をすることになります。従って、障害厚生年金を主張する場合は慎重にならざるを得ません。
ケース2 の場合
ケース1のこともあったので、最初から障害基礎年金で請求しました。しかし、請求時に年金事務所の担当者から、特殊学級等の経歴が無く、障害厚生年金の可能性もあると指摘されたので、ダメ元で1か月遅れで障害厚生年金で請求しました。しかし約1か月後障害基礎年金で請求するように指示され、障害基礎年金として再度請求した。
ケース3の場合
請求して約2ヶ月して、軽度知的障害であるので障害基礎年金として請求するよう指示がありました。国家公務員として正式に採用された者が、なぜ知的障害者なのか納得できず、ご家族と相談の上、厚生年金が最終的に認められない場合に不利益にことになること等をお話し納得されたので、年金事務所からの指示をお断りして、障害厚生年金のまま請求しました。
まだ結果は出てきませんが、再審査請求までは争うつもりです。
以上のように知的障害のある請求人は、初診がたとえ厚生年金加入期間中であっても、障害厚生年金が認められないことが多く、あくまで障害厚生年金であることを主張すると、障害基礎年金が請求できず、障害厚生年金が最終的に認められない場合は、請求時期が数か月遅れ請求人に不利益になることを覚悟する必要があります。
2024/7/30
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